2025/10/22 11:30

ヴィンテージの服を選ぶ際、生地やシルエットはもちろん重要ですが、見過ごされがちなのがジッパーです。実は、ジッパーの形状、機構、そしてブランドこそが、その服の製造年代を正確に教えてくれる、いわば「タイムカプセルの鍵」なんです。

1. カムロック(Cam Lock)

【用語解説】 ジッパーのスライダー(引き手)に備えられたロック機構の一種。スライダーの裏側に「爪」があり、引き手を動かしていない状態(ロックが有効な状態)では、この爪が務歯(ムシ、ジッパーの歯)に食い込むことで、勝手にスライダーがずり落ちるのを防ぎます。

  • 特徴: 1950年代後半から1960年代頃のヴィンテージによく見られるタイプです。特に、爪が一つだけの「片爪」式から、より強力なロックを実現する「両爪」式(ツメが二つ)に進化しました。この「爪」の有無や数を確認することで、服のおおよその年代を絞り込むことができます。

2. 片づめ(かたづめ)

【用語解説】 上記「カムロック」機構の中で、スライダーの裏側にあるロック用の爪が一つだけの古いタイプを指す俗称です。正式には「ピンロック式」とも呼ばれますが、古着愛好家の間では「片づめ」として親しまれています。

  • 特徴: 主に1950年代以前のヴィンテージジーンズやジャケットに見られる、初期のロック機構です。ロックの信頼性では両爪に劣りますが、その古い機構こそがヴィンテージの証。この片づめのスライダーに出会えたら、かなり古い年代の貴重なピースである可能性が高いです。

3. TALON(タロン)

【用語解説】 世界で初めて実用的なジッパーを開発したアメリカのメーカー。ジッパーの歴史そのものと言える存在であり、ヴィンテージ古着におけるジッパーの代名詞的なブランドです。

  • 特徴: 非常に多岐にわたるモデルと年代が存在し、その刻印や形状が年代判別の最重要ポイントです。「コの字留め」(40年代以前)、「棒タロン」(50〜70年代)、そして特に人気なのが「42TALON」(60年代〜70年代頃)で、スライダーに刻まれた「42」の数字や、斜めのブランドロゴが特徴です。

4. GRIPPER(グリッパー)

【用語解説】 SCOVILL(スコヴィル)社が製造していたジッパー、およびボタンのブランド。TALONと並び、特にデニムやワークウェアの分野で広く使用されていた歴史あるブランドです。

  • 特徴: スライダーに「GRIPPER ZIPPER」と刻印されていることが多く、そのシンプルながらもタフな作りがワークウェア愛好家から高く評価されています。特に古い年代のLee(リー)などのデニムに見られることも多く、その存在感はヴィンテージの雰囲気を一層高めています。

5. CROWN ZIPPER(クラウン・ジッパー)

【用語解説】 1930年代後半から1960年代頃にかけて、主に米軍のフライトジャケット(A-2、B-3など)に採用されていたことで有名なジッパーメーカー。

  • 特徴: 他社にはないエレガントで美しいデザインが特徴的で、特に戦時中のモデルに見られる「シェブロン型」と呼ばれる特殊な務歯の形状や、「スプリングロック式」と呼ばれる独自の機構を持つスライダーは、コレクターの間で非常に人気が高いです。ミリタリーヴィンテージや、それをサンプリングしたアイテムを語る上では欠かせない存在です。

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