あなたの知らないラングラーの世界

2025/09/06 15:50

ラングラー：西部の開拓者たちが愛したジーンズの歴史

リーバイス、リーと並び、アメリカ3大ジーンズブランドの一つに数えられる「ラングラー」。そのジーンズは、単なる衣類ではなく、カウボーイやロデオ競技者たちのための機能性を追求し、西部の歴史とともに歩んできました。

今回は、ラングラーの創業から現在に至るまでの歴史、他のブランドにはないユニークな特徴、そしてヴィンテージファンに欠かせないタグの年代判別法について、詳しく解説します。

ラングラーの物語は、1897年にC.C.ハドソンがノースカロライナ州で設立した「ハドソン・オーバーオール社」に始まります。当初は、オーバーオールやワークウェアを製造する会社でした。

大きな転機が訪れたのは1947年。第二次世界大戦後、ジーンズが流行する中で、カウボーイたちに特化したジーンズを開発するため、伝説的なテーラー、ロデオ・ベンをデザイナーとして迎え入れます。

ロデオ・ベンは、カウボーイたちの意見を徹底的に取り入れ、それまでのジーンズにはなかった様々な機能を盛り込みました。

これらのユニークなディテールを持つジーンズは、"Wrangler"（カウボーイや牧童を意味する言葉）と名付けられ、瞬く間にカウボーイたちの間で絶大な人気を誇るようになりました。

特に1964年には、世界中のプロロデオ選手たちが着用する公式ジーンズに認定され、その地位を不動のものとしました。

ラングラーのジーンズは、カウボーイたちの過酷な生活に耐えうる機能性とデザイン性が融合しています。

リーバイスの隠しリベットやリーのドーナツボタンとは異なり、ラングラーは裏側にリベットを打たない「平リベット」を採用。これにより、馬の鞍や家具を傷つけることなく、耐久性を確保しました。また、ヒップポケットの独特な「W」ステッチも、ラングラーの象徴的なデザインです。

ラングラーのジーンズは、ウエストバンドに付いているパッチも特徴的です。初期は紙のパッチでしたが、その後「レザーパッチ」へと変化し、耐久性が向上しました。このレザーパッチには、ロデオのロープを模したデザインが刻印されています。

ヴィンテージのラングラージーンズを見分ける上で、タグは最も重要な手がかりとなります。

特徴：
- 青い縦長タグ： 1947年頃の非常に古いモデルに見られるタグ。細長い青い生地に、白字で「Wrangler」と書かれています。
- 黒い横長タグ： 1950年代にかけて使用されたタグ。「Wrangler」のロゴが特徴的で、下部に「BLUE BELL」の文字が入ることが多いです。

特徴：
- 刺繍ロゴタグ： 「Wrangler」のロゴが刺繍で表現されています。このタグは、カウボーイたちに絶大な支持を得た黄金期を象徴するもので、非常に人気が高いです。
- サイズタグ： この頃から、サイズがタグに記載されるようになります。

特徴：
- 白地に紺文字タグ： 1970年代前半に見られるタグ。
- 「Wrangler」ロゴの変化： ロゴの書体が角ばった、より現代的なデザインに変わっていきます。
- 生産国表記： この頃から、「MADE IN U.S.A.」の表記がタグに明記されるようになります。

特徴：
- シンプルなタグ： タグのデザインがよりシンプルになり、素材や洗濯表示などが細かく記載されるようになります。
- 製造国の多様化： 生産拠点がアメリカ国外にも広がり、様々な国の表記が見られるようになります。

ラングラーのジーンズは、単なるファッションアイテムではなく、西部の開拓者精神とカウボーイたちのライフスタイルを体現しています。その一着一着には、ロデオ・ベンが生み出した革新的な技術と、タフな男たちの物語が詰まっています。

今回ご紹介したディテールの違いやタグの判別法を参考に、あなただけの一着を見つけて、ラングラーの深い歴史と魅力をぜひ楽しんでみてください。

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