2025/09/05 13:51
ベイカーパンツOG107:ミリタリーパンツの王道

ミリタリーファッションの定番アイテムとして、古着好きからファッション愛好家まで、幅広い層に愛され続けている「ベイカーパンツ」。正式名称は「ファティーグパンツ」と言い、中でも最も有名なのが「OG-107」モデルです。
今回は、このベイカーパンツOG-107の歴史、特徴、そして年代によって変化するディテールやタグの見分け方について、詳しく解説します。

ベイカーパンツOG-107の歴史:アメリカ軍の象徴
OG-107とは「Olive Green 107」の略で、アメリカ陸軍の作業服や戦闘服に採用されていた、くすんだオリーブグリーンの色番号を指します。
ベイカーパンツは、その名の通り、パン職人(Baker)が穿いていたパンツに似ていることから俗称として呼ばれるようになりましたが、元々は1950年代から1970年代にかけてアメリカ軍の作業用パンツとして採用されていました。
シンプルなデザインと機能性を追求したベイカーパンツは、兵士の日常的な作業着として広く使われ、ベトナム戦争でも多くの兵士が着用しました。その丈夫さと実用性の高さから、現在でも様々なブランドがこのモデルをベースにしたアイテムを製造しています。
ベイカーパンツOG-107の特徴とディテールの変遷
ベイカーパンツOG-107の最大の魅力は、そのシンプルで無駄のないデザインにあります。
1. フロントの大きなパッチポケット
ベイカーパンツの最も特徴的なディテールが、フロントに付いた大きな長方形のパッチポケットです。このポケットは、両サイドに縫い付けられており、シンプルなデザインのアクセントになっています。
2. バックポケット
バックポケットは、フラップ付きのパッチポケットが2つ付いています。
3. 素材
OG-107は、初期のモデルでは「コットンサテン」という丈夫な生地が使用されていました。この生地は、光沢があり、独特の風合いが特徴です。年代が下るにつれて、より柔らかい生地に変化していきます。
ディテールの変遷
ベイカーパンツは、時代とともに細かな仕様が変更されています。
ボタン:
1950年代: 光沢のない尿素ボタンや、茶色い平ボタンが使用されています。
1960年代: 緑色の平ボタンや、中央が窪んだ「UFOボタン」と呼ばれるものが登場します。
シルエット:
1950年代~1960年代初期: 裾に向かって細くなるテーパードシルエットのものが主流でした。
1960年代後半~1970年代: 裾幅が太いストレートシルエットに変化します。
縫製:
1960年代: アウトシームやインシームがダブルステッチで縫われているものが多く、より頑丈な作りになっています。
1970年代: 縫製が簡略化され、シングルステッチに変わっていきます。
タグで判別!ベイカーパンツの年代別見分け方
ベイカーパンツの製造年代を特定する上で、タグは最も重要な手がかりとなります。

1. 1950年代
特徴: この年代のOG-107は、タグが縫い付けられておらず、サイズ表記などが直接スタンプで押されていることが多いです。ウエスト部分のサイドにアジャスタータブが付いているのも特徴です。

2. 1960年代
特徴: 1963年以降のモデルは、タグが縫い付けられるようになり、サイズ表記もS, M, Lといった大まかな表記からインチ表記に変更されます。この頃からUFOボタンが採用され始め、サイドアジャスタータブはなくなります。

3. 1970年代
特徴: タグのデザインがさらにシンプルになり、フロントの仕様がボタンフライからジッパーフライに変わるモデルも登場します。生地感も柔らかいものに変化していきます。

4. DSA (Defense Supply Agency) ナンバー
年代判別で最も信頼できるのが、DSA (Defense Supply Agency) ナンバーと呼ばれるコントラクター(製造業者)番号です。この番号は、契約年を示す数字が含まれており、製造年を特定することができます。
DSA-1-XXXX: 1962年~1964年
DSA-100-XXXX: 1965年~1971年
DLA-100-XXXX: 1972年以降
まとめ
ベイカーパンツOG-107は、そのシンプルで普遍的なデザインが、どのようなスタイルにも馴染み、長年にわたり愛されてきました。
今回ご紹介したディテールの違いやタグの判別法を参考に、ヴィンテージのベイカーパンツに隠された歴史と物語をぜひ楽しんでみてください。きっと、あなただけの一着が見つかるはずです。