2025/08/31 14:35

ペンドルトン ウールシャツの魅力:歴史、特徴、そしてタグが語る物語

アメリカの老舗ウールブランド「ペンドルトン」。特にそのウールシャツは、古着好きからファッション愛好家まで、多くの人々に愛され続けている不朽の定番アイテムです。今回は、ペンドルトンのウールシャツがなぜこれほどまでに魅了するのか、その歴史、製品の特徴、そしてヴィンテージファンには欠かせないタグの年代判別法について詳しく見ていきましょう。

ペンドルトン ウールシャツの歴史:伝統と革新の融合

ペンドルトンの歴史は、1863年にイギリスからアメリカ・オレゴン州に移住した毛織物職人トーマス・ケイによって始まります。当初は、地元の羊毛を使った毛織物工場として、ブランケットや生地を生産していました。

大きな転機が訪れたのは1909年。彼の孫たちがオレゴン州のペンドルトンの町にあった工場を再建し、ネイティブアメリカンの伝統的な柄を取り入れたカラフルなブランケットを開発。これがペンドルトンブランドの始まりです。

そして、ウールシャツの製造が本格的に開始されたのは1924年。当時のウールシャツは、実用性重視の地味なワークウェアが主流でした。しかし、ペンドルトンは、ブランケットで培った高い染色技術と上質なヴァージンウールを活かし、鮮やかでデザイン性の高いウールシャツを世に送り出しました。この革新的なアプローチが人々に受け入れられ、ペンドルトンのウールシャツは、単なる作業着からファッションアイテムへとその地位を確立していきます。

1960年代には、西海岸のサーファーたちに愛用され、「ボードシャツ」として人気を博します。これは、ウールシャツが持つ保温性や耐久性が、サーファーたちのライフスタイルにマッチしたためです。ペンドルトンのウールシャツは、アメリカの文化や歴史と深く結びつきながら、時代を超えて愛され続けています。

ペンドルトン ウールシャツの特徴とディテールの変遷

ペンドルトンのウールシャツは、その優れた品質と普遍的なデザインに特徴があります。

1. 高品質なヴァージンウール

ペンドルトンは、柔らかく保温性に優れた「ヴァージンウール」(子羊から初めて刈り取られる羊毛)にこだわっています。これにより、ウール特有のチクチク感が少なく、快適な着心地を実現しています。

2. 多彩なチェック柄

ペンドルトンの代名詞とも言えるのが、豊富なチェック柄。ネイティブアメリカンの伝統的な柄からインスピレーションを得たものや、オンブレチェック(グラデーション状のチェック)など、そのバリエーションは多岐にわたります。

3. バリエーション豊かなモデル

  • ボードシャツ: 台襟のない開襟タイプで、裾がボックスカットになっているモデル。1960年代のサーフカルチャーを象徴するアイテムです。

  • ロッジシャツ: レギュラーカラーに胸ポケットが一つ付いたクラシカルなモデル。

  • ウエスタンシャツ: ウエスタンヨークやスナップボタンが特徴的なモデル。

ディテールの変遷

ウールシャツのディテールは、時代によって少しずつ変化しています。

  • ポケット: 初期はシンプルなパッチポケットが多いですが、年代が下るにつれて、ボタン付き、フラップ付き、スナップボタン付きなど、様々なデザインが登場します。

  • ボタン: ヴィンテージのものは、プラスチックや尿素樹脂のボタンが使われていることが多く、経年変化も楽しめます。

  • シルエット: 時代によってシルエットも変化しており、古いものほどゆったりとしたボックスシルエットが多い傾向にあります。

タグで判別!ペンドルトンの年代別見分け方

ヴィンテージのペンドルトンウールシャツを見分ける上で、最も重要な手がかりがタグです。タグのデザインや表記から、おおよその製造年代を推測することができます。

1. 1930年代

  • 特徴: タグに「PENDLETON, OREGON」の表記があります。この表記は非常に珍しく、希少な年代の証です。

2. 1940年代

  • 特徴: タグ内にサイズ表記がなく、別の紙タグなどで表記されていることが多いです。タグ内の「PENDLETON WOOLEN MILLS」の頭文字が少し大きいのも特徴です。

3. 1950年代

  • 特徴: タグの右下にサイズ表記が入り、すべての情報がタグの枠内に収まっています。

4. 1960年代

  • 特徴: 1964年以降の製品には、タグの枠外に「ウールマーク」と「PURE VIRGIN WOOL」の表記が入るようになります。この表記があるかどうかで、60年代以降かどうかの判別が可能です。

5. 1970年代

  • 特徴: 60年代のタグに加えて、「MADE IN U.S.A.」の表記が追加されます。

6. 1980年代

  • 特徴: 50年代のタグに似ていますが、タグの中に「ウールマーク」と「MADE IN U.S.A.」の表記が入ります。サイズ表記が数字になるものも登場します。

7. 1990年代以降

  • 特徴: タグのデザインがシンプルになり、「SINCE 1863」の表記が追加されるようになります。

まとめ

ペンドルトンのウールシャツは、単なる衣類ではなく、アメリカの歴史や文化を物語るタイムカプセルのような存在です。その一枚一枚には、創業者の情熱や職人たちの技術、そして時代を彩ってきた人々のストーリーが詰まっています。

ヴィンテージのペンドルトンを探す際は、今回ご紹介したタグの見分け方をぜひ参考にしてみてください。タグが語る物語を読み解くことで、お気に入りの一着が持つ魅力をより深く感じられるはずです。