2025/08/30 18:22

ナイキの歴史、特徴、そしてタグから見る年代判別法

世界で最も有名なスポーツブランドの一つである「ナイキ」。そのロゴであるスウッシュは、誰もが一度は目にしたことがあるでしょう。今回は、ナイキの創業から現在に至るまでの歴史、製品の変わらない特徴、そしてヴィンテージファンには欠かせないタグの年代判別法について詳しくご紹介します。

ナイキの歴史:イノベーションの軌跡

ナイキの物語は、1964年にオレゴン大学の陸上コーチであったビル・バウワーマンと、彼の教え子であったフィル・ナイトによって「ブルーリボン・スポーツ(BRS)」として始まりました。当初は、日本のオニツカタイガー(現アシックス)のランニングシューズを輸入販売する会社でした。

転機が訪れたのは1971年。バウワーマンが朝食のワッフルからヒントを得て、ワッフルを焼く機械を使ってユニークな靴底を開発しました。これが「ワッフルソール」であり、画期的なグリップ力を生み出し、BRS初のオリジナルシューズ「ナイキ コルテッツ」に採用されました。

そして1972年、ギリシャ神話の勝利の女神「ニケ」にちなんで社名を「ナイキ(Nike)」に改名。同時に、学生であったキャロリン・デビッドソンがデザインした「スウッシュ」ロゴが誕生しました。このロゴは、女神の翼を象徴していると言われています。

その後、エアバッグを搭載した「エア マックス」シリーズ、バスケットボール界のレジェンドであるマイケル・ジョーダンとのコラボレーションによる「エア ジョーダン」シリーズなど、数々の革新的な製品を生み出し、ナイキは世界を代表するスポーツブランドへと成長しました。

ナイキ製品の特徴とディテールの変遷

ナイキの製品は、単なるスポーツ用品を超えた文化的なアイコンです。その特徴は以下の通りです。

1. 革新的なテクノロジー

ワッフルソール、エアユニット、フライニットなど、常に最先端の技術を追求し、アスリートのパフォーマンス向上に貢献してきました。

2. デザイン性

スウッシュロゴのシンプルでありながら力強いデザインは、多くの人々に愛されています。また、様々なアーティストやデザイナーとのコラボレーションにより、ファッション性の高い製品を多数生み出しています。

3. ストーリー性

マイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズなど、トップアスリートのサクセスストーリーと密接に結びついており、製品には単なる機能以上の「夢」や「希望」が込められています。

ディテールの変遷

初期のナイキ製品は、現在のものとは異なるディテールが随所に見られます。

  • シュータンのロゴ: 初期は「BRS」や「オニツカタイガー」のロゴが使われていました。ナイキロゴに変わってからも、文字の書体や配置に変化が見られます。

  • ヒール部分のロゴ: 70年代のモデルでは、ロゴが小ぶりで「NIKE」の文字が細いものが多いです。80年代に入ると、ロゴが大きくなり、書体も太くなっていきます。

  • インソールのデザイン: 時代によってインソールのロゴやクッションの素材が異なり、製品の年代を特定する手がかりになります。

タグで判別!ナイキの年代別見分け方

ヴィンテージのナイキ製品を手に取った際、最も重要な手がかりとなるのがタグです。タグのデザインや表記から、おおよその製造年代を推測することができます。

1. 70年代前半(風車タグ、ゴツナイキタグ)

  • 風車タグ(Pinwheel Tag): 70年代初頭のごく短期間に存在したレアなタグ。スウッシュロゴが渦巻き状になったデザインが特徴です。

  • ゴツナイキタグ(Block Nike Tag): 72年頃から見られるタグ。「NIKE」のロゴが太く、角ばった書体で書かれています。

2. 70年代後半〜80年代前半(筆記体タグ、銀タグ)

  • 筆記体タグ(Script Tag): 70年代後半に登場。筆記体で「NIKE」と書かれたロゴが特徴です。Tシャツなどのアパレル製品に多く見られます。

  • 銀タグ(Silver Tag): 80年代前半の製品に多く見られます。シルバーのベースに黒字でロゴが書かれており、MADE IN USAの表記があるものも多いです。

3. 80年代後半〜90年代(白タグ、紺タグ、90年代白タグ)

  • 白タグ(White Tag): 80年代後半から90年代前半にかけて使われたタグ。白地に黒のスウッシュとNIKEロゴがシンプルに配置されています。

  • 紺タグ(Blue Tag): 80年代後半に登場。紺色のベースに白でロゴが書かれています。

  • 90年代白タグ: 90年代に入ると、タグのデザインがさらにシンプル化され、製造国名が大きく表記されるようになります。

4. 90年代後半〜現在

  • 白タグに黒字のロゴ: 90年代後半から現在に至るまで、基本的なデザインはほぼ同じです。製造国名や品番、素材の表記が中心となります。

まとめ

ナイキは、単なるスポーツブランドではなく、イノベーションとデザイン、そして人々の夢を乗せた文化的な存在です。その歴史を知ることで、一足のスニーカーや一着のウェアが持つストーリーをより深く感じることができます。

ヴィンテージのナイキ製品を探す際は、今回ご紹介したタグの見分け方をぜひ参考にしてみてください。一点一点異なるディテールの中に、ナイキが歩んできた道のりを見つけることができるでしょう。