2025/08/23 13:24




あなたの知らないストアワークブランドBIGMACの世界

アメリカンヴィンテージ好き、特にワークウェア好きなら一度は耳にしたことがあるであろうブランド、BIGMAC(ビッグマック)。ワークウェアブランドの中でも、ストアブランドとして多くの人々に愛されてきたこのブランドについて、その歴史とディテールの魅力、そして年代ごとのタグの変化を深掘りしていきましょう。

BIGMACのブランドの歴史

BIGMACは、アメリカの大手百貨店、**JC Penney(ジェーシーペニー)**のプライベートブランドとして誕生しました。1920年代頃から展開が始まったとされており、Levi'sやWranglerといった専門のデニムブランドとは異なり、百貨店で販売される「ストアブランド」として独自の立ち位置を築きました。

当時のJC Penneyは、アメリカ全土に店舗を持つ大規模なチェーンストアであり、その品質と手頃な価格から、多くの労働者にとって身近な存在でした。そのため、BIGMACのワークウェアは、ブルーカラーの人々が日常的に着用する作業服として、広く普及しました。オーバーオールやカバーオール、ワークシャツなど、多岐にわたるアイテムが生産され、アメリカの労働者階級の生活を支えてきたと言えるでしょう。

BIGMACのディテールと魅力

BIGMACのワークウェアが多くのヴィンテージファンを惹きつけるのは、その機能性と堅牢さを追求したディテールにあります。

  • トリプルステッチ: 多くのワークウェアに見られる特徴ですが、BIGMACのアイテムも、負荷がかかる部分には3本の縫製が施されています。これにより、耐久性が格段に向上し、過酷な労働にも耐えうる頑丈な作りを実現しています。

  • 巻き縫い(ダブルステッチ): 特にシャツやデニムジャケットなどに見られる巻き縫いは、縫い代が表に出ず、見た目がすっきりするだけでなく、生地の端がほつれにくいという利点があります。

  • チンストラップ: 一部の古いワークシャツには、襟を立てて留めるための**チンストラップ(チンスト)**がついています。これは、首元から風が入るのを防ぐための機能的なディテールで、ヴィンテージ好きにはたまらないポイントです。

  • 刻印入りボタン: BIGMACと刻印されたメタルボタンや、ロゴ入りのドーナツボタンなども、年代を判別する上で重要な要素です。細部にまでこだわった作りが、このブランドの魅力をさらに引き立てています。

  • ペンシルポケット: ワークシャツの胸ポケットには、ペンを挿すための細いポケットが付いていることがあります。これも、実用性を重視したワークウェアならではのディテールです。

タグで知る年代の変化

BIGMACのヴィンテージアイテムを語る上で欠かせないのが、年代によって異なるタグのデザインです。タグを見ることで、そのアイテムがおおよそどのくらいの時期に作られたものなのかを知ることができます。

  • 〜1940年代: この時期のタグは、筆記体でブランド名が書かれていることが多いです。シンプルなデザインですが、古めかしいフォントが時代を感じさせます。

  • 1950年代〜1960年代: この頃になると、筆記体に加えて、ブロック体でブランド名が記載されるタグや、ブランド名を大きくあしらったタグが登場します。この時期のオーバーオールなどに見られる、扇形の「BIGMAC」のロゴが有名です。また、この頃から、素材や洗濯方法などが併記されるようになります。

  • 1970年代〜: この時期のタグは、よりシンプルで現代的なデザインへと変化します。洗濯表示がさらに詳しくなり、素材の混紡率なども明記されるようになります。この頃のデニムジャケットやシャツは、70年代特有のカラフルなステッチが使われていることもあり、ユニークな雰囲気を持っています。


このように、BIGMACは単なる作業着ではなく、アメリカの歴史や文化、そして当時の人々の暮らしを映し出す鏡のような存在です。ヴィンテージアイテムを見つけたら、ぜひそのタグやディテールに注目してみてください。きっと、そのアイテムが歩んできた長い歴史を感じることができるでしょう。