2025/08/20 15:15

リーバイス 501は、時代の変化に合わせて様々なディテールが変更されてきました。1890年から1986年までの主な変化を、年代ごとにまとめます。

1890年代〜1940年代(初期)

  • 革パッチ: 1886年から1957年頃まで、ウエスト部分には馬がジーンズを引っ張る「ツーホースマーク」がデザインされた革パッチが使われていました。

  • シンチバック: 後部のウエストを調節するシンチバック(尾錠)が付いていました。これはサスペンダーで吊るす時代だった名残です。

  • クロッチリベット: 股部分に補強のためのリベットが付いていました。

  • 一本針によるアーキュエイトステッチ: バックポケットのステッチは、一本針のミシンで描かれており、中央で糸が交わらない仕様でした。

  • バックポケットは一つ: 1900年頃までは、バックポケットは一つでした。

1940年代(第二次世界大戦モデル)

  • 戦時統制による簡素化: 第二次世界大戦の物資統制により、ディテールが大幅に簡素化されました。

  • ドーナツボタン: 戦時下の物資不足のため、メーカーの刻印のない月桂樹柄のボタンが使われました。

  • バックポケットのペイントステッチ: 糸の使用量を節約するため、アーキュエイトステッチが省略され、代わりにペンキで描かれました。

  • コインポケットのリベット: コインポケットのリベットが省略されました。

1947年〜1950年代(501XXモデル)

  • バックストラップの廃止: 戦後、不要とされたシンチバックが廃止されます。

  • 股リベットの廃止: 同様に、股リベットも廃止されました。

  • 二本針によるアーキュエイトステッチ: アーキュエイトステッチが二本針のミシンで縫われるようになり、中央で糸が交差する「ダイヤモンドポイント」が生まれました。

  • 隠しリベットの登場: バックポケットの補強リベットが、生地に隠されるように縫い付けられる「隠しリベット」が採用されました。

  • 革パッチから紙パッチへ: 1957年頃を境に、革パッチから紙パッチへと切り替わりました。

1960年代(66モデル)

  • 隠しリベットの廃止: 隠しリベットが廃止され、代わりにバックポケットを補強する「バータック」(カンヌキ止め)が採用されました。

  • フロントボタンの数の変化: 股上が浅くなり、フロントボタンの数が5つから4つに減りました。

  • ビッグEからスモールeへ: 1971年頃、バックポケットの赤タブの「LEVI'S」の表記が、大文字の「E」から小文字の「e」に変わりました。

1970年代〜1986年

  • 赤耳の廃止: 創業当初から使われてきた、セルビッジデニム(通称「赤耳」)が、1980年頃から徐々に姿を消し、1986年頃には完全に廃止されました。これは、効率的な生産のために、幅広の織機が導入されたためです。

これらの変化は、それぞれの時代の社会背景や生産技術の進化を反映しており、ヴィンテージジーンズを見分ける上で重要な手がかりとなります。